遺言・相続のご相談
このようなことでお悩みではありませんか?
- 将来、残された家族が揉めないように遺言書を作成したい【遺言書作成】
- 父の遺言書が見つかったが、あまりに自分に不利な内容で父の遺志とは思えない【遺言無効確認、遺留分侵害額請求】
- 兄が遺産分割協議書を作ってきて判子を押すように迫るが、内容に納得がいかない【遺産分割】
- 祖父が亡くなった後、その土地・建物の名義を換えないままでいたが、その後、管理していた父や叔母も相次いで亡くなり、どう処理していいのかわからない【遺産分割】
- 亡くなった父が多額の借金を抱えていたようだが、自分が返済しなければいけないのか【相続放棄の問題】
遺言
亡くなる前に遺言を作成し、自分の財産をどのように分配するか決めておくことで、後々の相続人同士のトラブル防止につながります。 遺言には、大きく分けて次の2つの方法があります。
自筆証書遺言
自筆証書遺言とはその名のとおり、遺言者が自筆で書き上げる遺言書のことです。 いつでも、どこでも、特段の費用をかけずに作成できることが利点です。 他方で、以下の方式に則って作成することが必要とされており、これらのすべてを満たしていないと遺言書は無効となってしまいますので、注意が必要です。
- 全文の自署
ワープロ打ちは無効です。ただし、添付する財産目録だけはワープロ打ちでも可とされています。 - 日付の記載
年月日の記載が必要です。 - 氏名
姓と名前両方の記載が必要です。 - 押印
認め印でもよいとされています
また、自筆証書遺言は、遺言者が亡くなった後、家庭裁判所に提出して「検認」という手続を採らなければなりません。
公正証書遺言
公正証書遺言とは、公証人が作成する遺言書のことです。
公証人という専門家が作成しますので、方式の不備により無効となるおそれが少なく、検認も不要です。また、遺言書原本が公証役場で保管されるため、遺言書の紛失や隠匿の危険もなく、全国どこの公証役場でも遺言書の有無を検索できますので、遺言の存在が知られないまま相続手続が終わってしまうという危険も減らすことができます。
所定の手数料こそかかりますが、自筆証書遺言に比べ、安全確実な方式といえますので、できるだけ公正証書遺言を活用されることをお薦めしています。
遺産分割
有効な遺言が残されていない場合には、相続人間で遺産をどのように分配するか決めていくことになります。
まずは裁判所を通さずに、相続人同士で話し合い、遺産をどのように分けるか話し合いを行うのが一般的です。話し合いの結果、遺産分割協議が成立した場合には、遺産分割協議書を作成します。
相続人間での話し合いがまとまらない場合には、遺産分割調停や遺産分割審判といった家庭裁判所の手続を利用することになります。
遺産分割の話し合いは、おおむね以下のような流れで進められていきます。
- 相続人の確定
相続人となる順位は民法によって定められています。
個々の案件で誰が相続人となるかは、亡くなられた方の戸籍謄本等を出生時までさかのぼって取得して確認する必要があります。事案によってはかなり煩雑になることもありますので、この段階から弁護士に委任していただくことも可能です。 - 遺産の範囲の確定
相続が開始すると、亡くなられた方に帰属していた一切の権利義務は原則としてすべて相続人が承継します。
そこで、亡くなられていた方がどのような財産を所有していたか、どのような権利を持っていたかなどの調査が必要になってきます。プラスの財産だけでなく、借金の有無などマイナスの資産の調査も必要です。 - 遺産の評価
民法が定める相続分に応じて公平に遺産分割を行う前提として、遺産の価値を個別に評価する必要があります。
現金、預貯金等は額面がそのまま評価額となりますので問題になることは少ないですが、不動産や株式などは、査定書など第三者の見解も交えながら評価額を定めていく必要があります。 - 特別受益・寄与分の確定
相続人の中に、亡くなられた方から遺贈を受けたり、生前に贈与を受けたりした人がいた場合に、この相続人が他の相続人と同じ相続分を受け取ることは不公平です。そこで、このような場合、生前贈与等(特別受益といいます)を相続分の前渡しとみて、相続分を算定することになっています。
また、相続人の中に、亡くなられた方の財産の維持や増加に特別の貢献をした人がいる場合も、この相続人が他の相続人と同じ相続分しか受け取れないとなれば不公平となっていまいます。そこで、このような場合には、その相続人の貢献によって形成・維持された遺産(寄与分といいます)を差し引いたものを相続財産とみなして相続分を算定することが必要になります。 - 具体的な分割方法の確定
以上をもとに、各相続人の相続分額を算定した後、具体的な分割方法を決定することになります。
分割方法は大きく分けて次の4種類ですが、各相続人の意向を反映し、複数の方法を組み合わせながら最終的な分割方法を決定していきます。
(1) 現物分割 財産の形状や性質を変更することなく分割する方法(例:土地を二筆に分筆して分割)
(2) 代償分割 法定相続分を超える額の遺産を取得する代わりに、他の相続人に金銭(代償金)を支払う方法
(3) 換価分割 遺産を売却等で換金した後に、その価格を分割する方法
(4) 共有分割 遺産を相続分に応じて共有する方法(例:土地を持分2分の1ずつ取得する)
遺留分侵害額請求
遺言によって、満足に遺産を相続できない相続人が出てくることがあります。
しかし、そのような場合でも、特定の範囲の相続人には一定の割合での遺産の取得を求めることができます。これを遺留分といいます。
遺留分を侵害している相続人に対し、遺留分を主張することを遺留分侵害額請求といいますが、これは、亡くなったことを知ってから1年経過するまでに行使する必要がありますので、注意が必要です。
相続放棄
相続においては、預貯金や不動産などいわゆるプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も相続の対象となります。
相続が開始したものの借金しか残っていない、あるいは、プラスの財産とマイナスの財産を合わせるとマイナスの財産の方が多いというような場合には、相続放棄を検討する必要があります。
相続放棄の申述は家庭裁判所に行うことになりますが、亡くなったことを知ってから3か月以内に行う必要があります。
なお、相続財産としてプラスの財産とマイナスの財産がある場合に、プラスの財産の範囲においてのみマイナスの財産を相続する限定承認という方法も認められています。